2014年8月17日日曜日

下町ロケット

池井戸潤さんの「下町ロケット」という小説を読みました。
ファンタジーでもあり、現実的でもあるような内容の中に、
「人に信用されるのはどういうことか」ということも詰まった
一冊であるように思いました。


かつてロケットエンジンの開発者だった主人公の佃航平はロケットの打ち上げ失敗の責任をとり研究者の道を諦め、亡くなった父の後を継いで佃製作所という中小企業の社長になります。
物語は主要取引先からの発注停止に始まり、大手企業ナカシマ工業からは佃製作所の主力商品である小型エンジンが特許侵害をしていると訴えられ、90億もの損害賠償を請求されます。
また、佃製作所が開発した高性能のエンジンシステムを巡り、巨大企業である帝国重工との攻防が物語の核になっていきます。


また、佃製作所の経営と自分たちで開発したエンジンを使ってロケットを飛ばしたいという両方の思いが交差し、佃航平と社員の関係に溝が出できてしまいます。
そんな関係が帝国重工との攻防の中で少しずつ変わっていき、
物語終盤には佃のロケットを飛ばしたいという思いが
社員全員の思いになっていきます。


特に僕の印象に残ったのは佃航平と社員とのやりとりです。
佃航平は「こうしたいんだ」というはっきりとした自分の思いがあります。
それに異議を唱える社員もいる訳なのですが、必ずその社員の言葉に耳をかします。
腹の立つこを言われても、ぐっと自分の中にとどめ、それをあまりおもてに出すことをしません。


自分のまげたくない強い思い、信念を持っていること、
一見傲慢な姿にも見えるのですが、その姿は社員に夢を与えれくれます。
夢や希望、やってみたいことを忘れてはダメなんだというメッセージを自らの姿勢で語っています。また、社員の意見を聞く姿勢は自分以外の考え方を決して批判しない、そんな佃の姿勢が表れているように思います。


夢を持ち、同時に会社の未来のことも考え、社員の声にも耳をかす。
そんな佃の姿からは信用されるリーダーの姿を感じました。
僕が一番見習いたいのは社員の言葉に耳を傾ける佃航平の姿勢でした。


機会があれば読んでみてください。きっと、おもしろいと思います。