歴史博物館を訪れたのは2回目だったのですが、最初に訪れたことを
あまり覚えていなかったので、新鮮な気持ちで楽しむことができました。
企画展の展示室に入ってすぐに目に入るのが
「雲州公御上京御行列」です。
これは1847年の孝明天皇即位の儀式に将軍の名代として上京(京都御所へ)した
松江藩9代藩主松平斉貴(なりたけ)の行列を描いた絵巻で、大名行列を描いただけあって
絵巻の全長は46mもあります。
分かりにくい写真ですが、このような感じで46mに渡り行列が描かれています。
この人の荷物は重そうだな、この人はどんな役目なんだろうかという
人も描かれていて、なかなかじっくり楽しめました。
写真は藩主斉貴が乗った籠を囲むものなのですが、籠を囲む人の多さに
驚きますね。これだけ人がいれば安心ですね。
そもそもどうして題名が「じっくり味わう」なのかというと
パンフレットにはこう書かれてあります。
『美術館や博物館で展示されている絵巻を見ていて「イラッ」ときたことはありませんか?一部しか開いていない。場面の意味が分からない、「あーただのきれいな絵だな」で終わっては面白くないのも当たりまえ。今回の展示では、当館が所蔵する絵巻などをできるだけ、めいっぱい開いてご覧いただきます』
とありました。なかなか攻めの言い方でおもしろいですね。
その企画の趣旨を感じれたのが「大黒舞」という絵巻でした。
この大黒舞も長い絵巻で、話が最初から最後まで分かるように展示してあり、
内容がしっかり理解できまた。
貧しいながらも親孝行の大悦の介が清水寺での祈願の帰りに拾ったわらしべから物語が始まります。このわらしべが梨と交換され、梨が反物と交換され、最後には黄金10両を得ることになります。「わらしべ長者」の話ですね。
そして、ここからまた話が続き、翌年の正月、そんな大悦の介の親孝行ぶりに感心した
大黒、恵比寿が大悦の家を訪れ、酒宴を開き、舞や歌や相撲を楽しみ、福をさずけ、
長者にします。
しかし、富み栄える大悦の噂を耳にした大江山の盗賊達が攻めてきます。
大黒や恵比寿の力をかり、その盗賊達を討ち取るのですが、打ち取った盗賊達が
鬼になりなおも大悦を引きさらおうとします。
大黒のすすめで鬼達を供養することでこの危機から脱し、大悦の家はますます栄えていくという話なのですが、この鬼の絵が最初の写真のある大きな鬼の絵です。
とても迫力があり、なんともいえない不気味さを感じました。
この大黒舞の絵巻はそれぞれの場面の絵と、文字で物語が進んでいきます。
巻物なので長くなるのですが、私たちが見ている、読んでいる絵本に通じるもの
なんだなということを感じました。当時の人々はそんな絵巻ものを
私たちが絵本を読むように楽しんでいたのかもしれませんね。
絵巻だと長さにそんなに制限がないので、物語の世界をより盛大に表現することが
できるのかもしれません。高さには制限がありますが、描きたいものをおもいっきり
描けるということでもあったのかもしれません。
ついつ長くなってしまう。そんなこともあったのかもしれませんね。
また、同時にこんな長い絵巻をどこで描いたんだろうかということも気になりました。
やっぱり、ばっ!と広げて描きたいですよね。
そうなると、かなり広い場所も必要だったのかなと想像したりしました。
長くなったので、その2に続きます。
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