先日、「黄泉比良坂(よもつひらざか)」という場所を訪れました。
この場所は日本書紀において、あの世とこの世の境界の場とされている所です。
「ひら」は崖を意味するとされているそうです。
どうして、この場所があの世とこの世の境界なのかといいますと、
男神イザナギと国造りをした女神イザナミが火の神である迦具土神(かぐつち)を
産んだために亡くなってしまいます。
イザナギは悲しみ、黄泉の国に行き、イザナミに会おうとします。
そして、イザナミに一緒に帰ってほしいことを伝え、イザナミは黄泉の国の神々に
相談しようとします。その間、私の姿は絶対に見ないでほしいと
イザナギに伝えます。しかし、なかなか帰ってこないイザナミだったので、
イザナギは周囲を照らし、辺りを見てしまいます。
すると、そこには体が腐敗したイザナミの姿があったそうです。
イザナギはそれを見て、逃げるのですが、イザナミは鬼女をつかって
追いかけます。しかし、鬼女はイザナギが投げた葡萄や筍を食べるのに忙しく
なってしまい役に立ちません。すると次は雷神や鬼の軍団を送りこみます。
そして、イザナギはこの黄泉比良坂まで、逃げ帰り、そこにあった
桃の実を投げ、追ってを退けます。
最後にはイザナミが追ってくるのですが、イザナギは千引(ちびき)の岩を
黄泉比良坂に置いて、道を塞ぎます。
なんだかちょっと怖い話ですね。
この話にはまだ続きがあって、
黄泉の国から帰ったイザナギはけがれを落とすために泉でみそぎをします。
その時に左目から生まれたのが天照大神で、
右目から生まれたのが月読命(つくよみのみこと)で、
鼻から生まれたのが須佐之男命とされています。
ということで、この黄泉比良坂は神話のルーツではないかとも言われています。
ですので、黄泉の国を根の国する説があり、これが
「島根」由来になったのではないかとも言われているそうです。
まだまだ多くの神話が残されていますが、
この神話というのは不思議ですね。
真実なのか、作られた話なのか。
神話はこの世界の成り立ちの話でもあるように感じます。
かつての人々のこの世界を知りたいという思いでもあるのかもしれませんし、
そよりももっと前から語り継がれてきた真実でもあるのかもしれません。
何が嘘で、何が本当ではなく、
私たちが生まれる前には当然ですが、たくさんの人々がいて、
そんな人々の思いや、時代がこの神話に込められていることを
考えると、想像の話という解釈ではない、
人の歴史を感じるようでもありますね。
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